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つつがむし病に注意

奈良医院 院長 
奈良正人


 去る5月26日、秋田県内第一号のつつが虫病患者発生のニュースが入ってきました。つつが虫病は初夏から晩秋にかけて、重篤な患者が発生する恐れがある警戒すべき病気の一つです。
 昭和48年から平成29年までのつつが虫病患者の発生月別では5月~6月が最も多く、場所的には田畑での農作業等、山林での山菜採り等での感染が多いとの報告がなされています。毎年この時期には注意喚起がなされ、発症は減少傾向にありますが、起居住地域別では大館、北秋田が全県の3分の1ぐらいで最も多いと報告されています。
 ツツガムシは非常に小さなダニの一種で、つつが虫病の病原体を持つツツガムシに刺され、人の体内に病原体が入り込んだときに発病します。最初の症状は39℃~40℃の高熱、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、寒気等でひどい風邪とよく似ています。さらに体に発疹がでてきます。ここで大切なのは受診し治療をしても熱が下がらないからといって勝手に医療機関をハシゴしないことです。それは一般化膿菌に通常使用される抗生物質がまったく効かないことから、継続して診ているドクターは、典型的な症状が時間と共に出てくると、つつが虫病を見逃すことはありません。しかし、途中で紹介状を持たなかったり、お薬手帳を持たなかったりして転院すると、それまでの経過や治療内容がわからず、診断が遅れることがあるからです。適切な治療開始が遅れると肝機能障害や腎機能障害がでて死亡することもあります。人から人にうつることはありませんし、早めに特効薬であるテトラサイクリンという抗生物質の投与を受けると簡単に治ってしまいます。ツツガムシが体に取り付いても吸着開始から感染するまでには6~10時間ぐらいかかるため、この時間を利用した対策が有効です。野外活動の際はできるだけ素肌を出さぬよう長袖を使用し、帰宅後は早めにシャワーや入浴をして入念に体を洗い流すことと、着替えをすることが予防につながります。
 つつが虫病は、刺されてから熱が出るまで(潜伏期)、約5~14日位の期間があります。症状が出てから治療しても間に合いますので、熱が出たり、刺し口に気が付いたりしたら早めに医療機関で診てもらいましょう。運悪くつつが虫病にかかっても、風邪よりも早く確実に治すことができる時代です。注意しながらも恐れず、山菜採りや渓流釣り、キャンプ等野外活動を楽しみましょう。身体を動かすことがストレスを解消し、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病にも好影響を与えるとすれば、年齢を問わず野外活動は運動不足でストレスの多い時代に最も必要なのかもしれません。どうぞつつがなくお過ごし下さい。
(北秋田市 平成30年6月1日掲載)

 

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